ミシガン大学公共政策大学院留学記: 原油価格高騰の原因

2009年4月27日月曜日

原油価格高騰の原因

昨日、東京でアジア・エネルギー産消国閣僚会合が開催され、議長声明において、産油国・消費国が共同でアジア地域の原油需給見通しを作成することに合意した。将来需給が不透明なことが適切な投資を阻害することから、これは歓迎すべきことである。

一方、議長声明において、原油の価格形成に金融市場が影響を及ぼしているとの見方を示し、商品市場の監視の強化や透明性の向上が必要だとして、建玉制限の導入やOTC市場に対する監視の強化を要請している。方向性自体には異存はないのだが、原油の価格形成に金融市場が影響を及ぼしているとの見解には個人的に異を唱えたい。

この見解は、サブプライム問題発生により生まれた過剰流動性が原油先物市場に流れ込み、年金ファンドなどの機関投資家が株や債券のヘッジとして原油先物を購入したことで、原油価格が高騰したというものであるが、当時の原油先物市場におけるデータは不十分なものであり、その是非を直接立証することはできない。

ただ、原油先物市場においては、当然のことであるが、売り手と買い手の両方が存在し、需給に基づいて価格が形成される。そして、原油先物市場と原油現物市場で実際には価格差が生まれるが、売り手と買い手が共に存在する以上、一方の当事者が利益を得れば、もう一方の当事者は損失が出る。したがって、資金が原油先物市場にいくら大量に流入しようとも、原油現物市場の動向、つまり現物市場におけるファンダメンタルズから乖離した価格形成は行われない。

考えてみれば当たり前のことで、「取引量が増大すれば価格が上昇する」なんてことは、市場が機能している限り起こらないのである。もちろん不公正取引により価格が恣意的に上昇させられる危険性はあるので、市場の透明性は重要であるが、それと資金が原油市場に流入したこととは別問題である。

結局、原油は需要・供給ともに価格に対して非弾力的であるため、世界経済の順調な成長や新興市場国の台頭による需要の急増懸念とOPECの供給能力の低下が、需給が少し逼迫しただけでも価格が急上昇するという現象を引き起こしたと考えるのが適切だろう。

日本エネルギー経済研究所や経済産業省は、時系列データを用いた計量分析をした結果、ファンダメンタルズで価格高騰の説明がつかないため、金融要因が価格高騰を引き起こしたと主張するが、過去において需要・供給の非弾力性に基づく価格上昇は発生していないと考えられるため、計量分析の結果を援用するには無理があるのではないか。

市場を直接規制するのは野暮で、産消国対話を通じた需給見通しの共有による投資の促進や原油関連データの共有による市場の透明性の向上に取り組むことで、原油市場をうまく機能させることこそ重要だと思う。

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