ミシガン大学公共政策大学院留学記: Stepping Stone or Stumbling Block?

2009年9月5日土曜日

Stepping Stone or Stumbling Block?

日本にいた時は会社で回覧されるThe Economistを読んでいたのだが、アメリカでは当然自腹で購読している。ネットに記事は全て掲載されているので、購読する必要がない気もするが、パソコンでは読みづらいので。まあ、年間で学割を使えば77ドルなので、お買い得かな。

今日届いた記事を読んでいて面白いなと思ったのが、”Doing Doha down” (注1)。正直、国際貿易分野には疎いのだが、秋学期に著名なDeardorff教授のInternational Trade Policyを受講しようかと思っていたこともあり、目を引かれた。

当記事はFTAについて二つの見方を示している。一つ目の見方は、FTAはそもそも役に立っているのか疑問視している。FTAに基づく関税減免措置は、手続きの煩雑さもあり、アジア地域では約5分の1の企業しか活用していないことを指摘した上で(注2)、政治は一部の企業の利益をもたらす形でFTAを締結するので、市場が不効率になる危険性を指摘する。二つ目の見方は、FTAがWTO交渉を邪魔しているのではないかと指摘している。政府や政治家は二国間交渉で勝ち取った果実を手放したくないからだ。

調査対象がアジア6か国の609企業に限られているので過度の一般化はできないのだけど、FTAはこんなにも利用されていないのかと愕然とした。出典元のワーキングペーパーでは、FTAの役割は認めた上で、関税軽減措置の煩雑さを”noodle bowl”と揶揄し(注3)、原産地規則・手続きの簡素化などを提言しているのだが、こんなにもFTAの活用率が低いのであれば、確かにそのベネフィットよりもコストに目が行ってしまう。

また、僕もFTAはWTO交渉のstumbling blockである気がしてならない。The Economistのように政治過程の問題として捉えてもよいと思うが、そもそもFTAは、非締結国との関係において潜在的に関税障壁を築くものである以上、関税の引上げは伴わないものの、ブロック経済圏化を推し進める危険性があり、WTOの理念自体に反するのではないか。

とりあえず授業を取る前の頭の体操として色々と考えてみたけど、そもそもwaiting listになってしまっているので、そもそも受講できるかどうかが一番問題なんだな…。


(注1) http://www.economist.com/opinion/displaystory.cfm?story_id=14363297
(注2) Masahiro Kawai and Ganeshan Wignaraja ”The Asian ‘Noodle Bowl’: Is It Serious for Business?” (http://www.adbi.org/working-paper/2009/04/14/2940.asian.noodle.bowl.serious.business/)
(注3) 物事が複雑に絡まっている状況のことを、英語で”spaghetti bowl”と言い、それをもじった表現。

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