ミシガン大学公共政策大学院留学記: クルーグマン来たる!

2009年10月4日日曜日

クルーグマン来たる!

 

金曜日はPaul Krugman教授の講演を聞きに行ってきた。実はこのイベント、現在International Trade Policyでお世話になっているAlan Deardorff教授の誕生日記念のイベントの一環だったみたい。さすが国際経済で著名な学者だけはあるな。

開演10分前に到着したせいか、会場のHill Auditoriumは超満員状態。当初予定されていた会場では、一般配布開始当日にチケットが足りなくなってしまったので、多分大学で一番広いHill Auditoriumに会場が変更されただけはある。運よくメインホールの最後列に席を見つけ、何とか座れた。

我が公共政策大学院のDeanであるSusan Collins教授が、「普段はクラッシックのコンサートに使っているから楽器が溢れていますが…演奏はしないですよ」という冗談を交えた簡単なイントロをした後、Paul Krugmanが登場。写真でしか見たことなかったけど、結構普通のおじさんですね(当たり前か)。

当然英語の講演なので細部に自信はないが、講演の概要は以下のとおり。
  • 蒸気機関・電報・鉄道の登場により、世界はグローバル化したが、世界恐慌と二度にわたる世界大戦の結果、政策は国内重視になり、国際取引の減少を招いた。
  • 1970年代に国際貿易はやっと元の水準を回復。同時期に、政策変更と技術革新が発生。対外政策は開放的になり、技術革新(例えば、運送コストの急激な減少)によりサプライ・チェーンと生産拠点が世界に広がった。
  • グローバリゼーションは、製造業の拠点を先進国の外へと移してしまうため、先進国の教育水準の低い層に悪影響を及ぼす。しかし、世界全体で見れば、富は確実に増加。とは言え、開放経済により得られる便益は認識されづらい。東アジア諸国においては貿易による利益が目に見える形で現れたが、米国においては目に見えづらい。しかし、開放経済による便益は確実に存在。
  • 現下の金融危機の初年度は大恐慌に比するものであり、大胆な政策対応が遂行されたが、未だ完全雇用の経済には程遠い。
  • 金融危機の原因の一つに、グローバリゼーションを背景とする自由な資本移動が存在。中国の米国債購入に支えられ、米国で住宅バブルが発生。ヨーロッパでも、西欧諸国の東欧諸国への貸付が現下の危機の原因になっている。
  • 現下の危機では、危機を引き起こした国が最も被害を受けている国ではない。グローバリゼーションの結果、日本とドイツが貿易の減少により最大の被害を受けた。これはグローバリゼーションの負の側面である。
  • 以前までの金融危機に対する解決策は常に同じで、経済が回復するまで貿易黒字を膨らませるというもの。世界同時不況が意味するところは、輸出先が存在しないため、こうした解決策が通用しないということ。
  • 保護貿易主義の台頭の兆しが見られるが、これを食い止める必要。一度保護貿易政策が採用されれば、現在我々がいる場所に戻ってくるまで何十年という交渉が必要となる。
  • 世界は今後も引き続きグローバル化していくのであり、逃れることはできない。
特段目新しい議論はないのだけど、グローバリゼーションの正負の両面について、歴史を紐解きながら簡潔にまとめたいい講演ではなかったと思う。もはやグローバル化していない世界に逆戻りできないのだから、負の側面を理解しつつ、前に進むしかないということかな。

その夜は楽しみにしていたBill Charlap Trioのコンサートに。観客は老夫婦連れが断然に多かった。リリカルな曲調のものが多く、うまくこのトリオのいいところが引き出されていたのではないかと。真剣に聴き入っていたら、あっという間に90分が過ぎてしまった。その結果、演奏しているところは写真におさめられず少し残念だったが、大満足。他のコンサートも時間を見つけて行ってみたいなと改めて思う。

金曜日は楽しく過ごせてしまった反動か、現在Kyoto+10のBackgrounderの最終稿をいかに仕上げるかで悶々としている。Writing Tutorからは構成や用法は上出来だが、具体例をもっとふんだんに入れるよう指示され、現在大幅に改訂中。昨日は午前4時まで一生懸命にやったのに、まだ終わらず。それでも、あと少し。頑張るか。

4 件のコメント:

  1. 最初の匿名2009年10月6日 1:17

    いいですねぇ。うちには本日ヒラリーが来ました。それを聞いた私の日本にいる友人が「え?(ヒラリー)ダフか?」と真面目に聞いてきたということはさておきまして、超絶の人気ぶりで木曜日配布のチケットはあっという間になくなりました。徹夜組もいましたし。私は1時間前に行きましたが、そのコンサートのような行列を見て絶望。まあ並びましたが、遥か手前でチケットはなくなりました。カメラは禁止みたいですね。CNNが世界配信するようですよ。

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  2. >最初の匿名さん
    現役の国務長官が来るとは、さすがにDCはすごいですね。クルーグマンの講演のチケットも一般配布当日に数が足りなくなってしまったため、会場変更という事態になりましたが、さすがに徹夜組はいませんでした。

    CNNでチェックしなくてはですね。最近の話題であれば、イランあたりかなと思いつつ、12月のコペンハーゲンに向けて気候変動もそろそろ盛り上がってきてほしいところです。

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  3. 最初の匿名2009年10月7日 14:59

    今日、ほとんどの人間がリーディングをやってきていないと言う衝撃の事実(教授にとっても)が発覚しました。グループディスカッションの後プレゼンという流れでしたが、どうも話についていけないんです。理由は、P以降を読めという指定がされているのに、彼らは予習をしていないため、その場で最初から読み始めていたんですね。てなわけで、私は完全においてけぼり。彼らがその事実に気付いたのは、もうプレゼンの直前。我々はなんとかごまかしたんですが、同じ課題を与えられた次のグループはそのことにまったく気付かず、プレゼン。「教授にそれはどこに書いてあるの?20P?指定は27P以降だけど。他のテーマのチームで誰かわかる人は?」「シーン」って感じでした。

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  4. >最初の匿名さん
    それはひどい状態ですね。最近風邪がはやっているのは、急に寒くなったせいもあるけど、中間試験に向けて徹夜が続いている学生が多いからじゃないかという噂を耳にしましたが、案外そういうものかもしれません。

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