ミシガン大学公共政策大学院留学記: 物事を考え抜く力

2010年1月12日火曜日

物事を考え抜く力

別にアメリカに留学してから初めて気がついたということではないのだけど、学者が物事を考え抜く時は、長時間、時には何日、何か月、果ては何年もかけているという事実に深く感嘆。

ほとんどの人がそうだと思うけど、僕は本当に集中して物事を考え抜くのはせいぜい一時間が限界。それ以上考え込んでいたとしても、本筋から離れたことを考えていたり、ものすごく効率悪い状態で考えているかのどちらか。僕のような組織の中でも下の方にいる人間にとっては、仕事上短時間で要領良く大量の仕事を捌くことが求められる場合が多いので、長考に長けているかはパフォーマンスに関係がない。しかし、留学が終わって会社に戻れば、ある程度の専門性を持ち、その分野において深い洞察を持って仕事を行うことが求められることも事実で、一つの物事を考え抜く力を身につける必要をひしひしと感じているのも事実。

そういう問題意識をもって学者先生や学者の卵の人たちと接していると、彼らの思考の長さ、深さに感嘆する。さすがに彼らのように何年単位で物事を考え抜く力というのは必要ないと思うし、実務家と学者の間には求められるものが異なるので、むやみに気に病む必要はないけど。そういえば、学部生の時に一度研究者の道も考えたことはあったけど、やっぱりこういう仕事には向かないなと彼らを見ていてつくづく思う。当然経験の積み重ねでそういう能力は向上するとは思うけど、物事を考える際のタイムスケールは才能に依拠する部分も大きいと思うわけで。いまさら才能を呪っても仕方ないし、逆に短時間における思考においては比較優位があるのだから、自分の能力を必要に応じて伸ばすということに変わりはないが。

留学していると、仕事をしている時では考えられなかったほど雑事から解放されて物を考え抜く時間は与えられている。目的意識を持って訓練するかは、後は自分次第。さて。

3 件のコメント:

  1. 最初の匿名2010年1月13日 19:10

    ごもっともです。今の私には絶対無理という感じです。インターン先でとある分野のリサーチをしているのですが、正直「もうよくね?」と思ってても、「まだ情報が足りない」と言われてしまい、自分の思考の浅さにフラストレーションを感じる日々です。

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  2. 省庁によって求められるものが違うのかもしれませんが、仕事で求められるような「洞察」自体は学者のように本質に近いところまで深く掘り下げていくことでも、逆に幅広い情報を統合して分析することでも得られるのではないか、と思っています。

    学者や学生によって違うのかもしれませんが、経済学の場合、テニュアを手に入れるまでは(質の高い)論文を如何に大量に著名雑誌に掲載出来るかが重要で、長いスパンでの研究テーマを持ちつつも、実際の仕事となると、その周辺のトピックスを要領よくさばいて(分析して)いくものがマジョリティだと思われます(実証研究と数理モデルの研究が多いのはそのためだと思いますが)。

    大学院に行った以上は(職業人大学院であっても)、世間は「物事を考え抜く力」を持っていると期待するんでしょうけど。

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  3. >最初の匿名さん
    専門でない分野でリサーチをすると、土地勘がないがために、必要な情報を集めきることができず、思考・分析が浅くなってしまいがちですよね。そういう言い訳をせず済むよう頑張りたいものですが。

    インターン大変そうですね。頑張ってください。

    >匿名さん
    コメントありがとうございます。

    おっしゃるとおり、実務において必要十分な洞察を得るためには、幅広い情報の統合・分析という手法も有効で、むしろ一般的なのかもしれませんね。ただ、インターネットのおかげで情報を入手しやすくなった時代においては、情報の選別が重要であることは論を待ちませんが、その統合・分析のレベルにおいて如何に差別化を行っていくかが重要というところでしょうか。

    経済学の場合のお話を聞いていると、当たり前ですが、学究の道もその世界で認められるまでは、普通の社会人と同じくきりきり仕事をせざるを得ず、大変みたいですね。競争がないと駄目でしょうが、学者はある程度余裕を持って研究をしてほしいなあと個人的には思ってしまいます。

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