ミシガン大学公共政策大学院留学記: 野党の心構えと民主主義

2010年2月3日水曜日

野党の心構えと民主主義

今日は少し余裕ができたのでThe Economistを流し読みしていると、共和党批判が面白かったので、少し御紹介(“The party of No”)。要旨は以下のとおり。
  • 保守主義は絶滅に瀕していると言われていたが、民主党がマサチューセッツ州の上院議席を失ったことにより、共和党は息を吹き返した。共和党が中間選挙に勝利する勢いであるし、オバマ大統領が医療保険改革法案や気候変動法案を通す見込みは低い。
  • 08年11月、アメリカはオバマに熱狂していたが、現在、熱狂の対象は、大きな政府と財政無責任を批判するTea Party Movementに移っている。民主党は初め相手にしなかったが、こうした批判は選挙民に広く共有されており、特に財政赤字が槍玉に上がっている。
  • 共和党は民主党の提案のすべてを拒否する誘惑に駆られている。もちろん共和党のリーダーはそのようなことはしないと口では言うが、現実は、話し合いの前提条件として民主党が受け入れられないことを要求し、Bipartisanshipからは程遠い。
  • 党議拘束もないので共和党議員は自己の良心に従って投票するし、民主党は共和党議員を一人取り込めばいいだけなのだが、共和党議員はその一票を民主党に与えたという理由で選挙に負けるリスクをなかなかとれない。
  • 共和党は容赦ない反対が選挙に利することを認識している。民主党案を廃案に追い込んだとの評判を得やすいし、民主党議員の造反を引き留めるために利益誘導が行われ、選挙民の支持が落ちるといった具合に。ただ、この戦略は無責任であると同時に危険でもある。共和党が穏健層を取り込むことが困難になるし、国家が立ち行かなくなる。CNNの世論調査によれば、半数近くの国民が民主党・共和党の両方に怒りを感じており、民主党だけに怒りを感じているのは約1割に過ぎないのだ。
少数政党が拒否権を行使し続けて国政を止めることには、やはり拒否感が強いんだなと感心。フィリバスターも行使中に水面下で交渉することに本質があるにも拘わらず、昨年見ていた限りでは、共和党が単に拒否権の発動として利用されているだけで、何ら建設的な議論がされていないため、不満がじわりじわりと高まっているというところだろうか。

まあ多数を背に強引に押し倒しを図ってきた民主党も当然反省する必要があって、オバマ大統領も歩み寄りをせず、いつまでも英雄気取りでいれば、全米が大期待したけど何も成し遂げられなかった「がっかり大統領」として歴史に名前を残すことができると思うけど。

議会の本質が議論を尽くし成案を得るということにある以上、与党としても野党としても、その本分に立ち返るべき時に来ているのかもしれない。民主主義もその趣旨に則って運用されなければ、最悪なのは変わらないんだから。

"Democracy is the worst form of government, except for all those other forms that have been tried from time to time." (Sir Winston Leonard Spencer-Churchill)

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