ミシガン大学公共政策大学院留学記: 甦るマクロ経済政策論争

2010年2月16日火曜日

甦るマクロ経済政策論争

つい最近、ブランシャール教授がマクロ経済政策の再考に関するペーパーを出したよう。今回の金融危機の経験を生かして、今後のマクロ経済政策のあり方を検討するにあたってのスタート地点を示すという位置づけの論文。インフレ目標の設定水準の検討、マクロ経済政策としての金融機関規制のあり方、インフレ目標と為替水準の関係再考、中銀の資金供給方法の多様化、財政政策の有効性確認と平時における財政赤字削減の必要性、よりよいビルトインステビライザー構築など、面白い論点がいっぱい詰まっているので、マクロ経済政策に関心がある人は必読。

ほとんどの論点は極めて常識的でうなずけることばかりだが、インフレ目標の設定水準の問題は一番議論が分かれそうなところ。金融政策の対応余地を広げるために、インフレ目標を現在の2%水準から、例えば4%の水準に引き上げるべきか否かという論点。ブランシャール教授は、インフレの費用と金融政策の対応能力を広げることで得られる便益のいずれが大きいかはまだわからないとしており、この問題に対しては少なくとも現在のところ中立的という感じ。

個人的な直観としては、結局のところ、費用・便益を定量化していっても他の政策手法との組み合わせの議論が残る以上、論理的には解決できないのではないかなといったところ。つまり、今後の制度設計のあり方として、財政政策(ビルトインステビライザー含む)の対応能力を高かめることができれば、確実に発生するインフレのコストが極小でない限り、金融政策の対応能力を無理に引き上げる必要もなかろうかと。

いずれにしても、今後の議論がどう発展していくか楽しみ。ここ数年は経済学の研究者はこのテーマにかかりきりになるだろうし。

2 件のコメント:

  1. お久しぶりです。こういう論争を近くで見られるのは醍醐味ですね。
    もうひとつ気になるのが、IMFが最近態度を変えたCapital Controlへの見解です。

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  2. >Lilacさん
    お久しぶりです。東海岸であれば、こういうダイナミズムが更に間近に見れるでしょうから、羨ましい限りです。

    おっしゃるとおり、資本規制に関する見解について方向転換を図ったかのようなペーパーが出ているみたいですね。The Economistでも取り上げられていて、気付きました。ちょうど、時間が取れた時にでも、ペーパーを読んでエントリーを書こうと思っていたところです。今回の金融危機が経済政策のあり方をどう変えていくか、しっかり注視していきたいですね。

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