ミシガン大学公共政策大学院留学記: 2月 2010

2010年2月26日金曜日

試験が終わり。ただ時間はない?

本日、計量経済の中間試験が終わり、Spring Break到来。…といきたいところなのだが、ミクロ経済の講師が空気を読まずに急に明日提出期限の宿題を出してきたので、テストが終わった後、宿題を解く羽目に。何だか今日は頭が混線していて、思ったように早く解き終わらず、いらいら。

そもそも計量経済の試験にしたって、問題が難しかったというのもあるが、明らかに調子が悪く、簡単な問題にも悩んでしまって、時間を上手く使いきれなかった感じ。まあ、あれだけ証明問題が出れば平均点も相当下がるだろうから、相対的には問題ないと思いたいところ。年に数回はこういう日もあるわな。ただ、個人的には試験ごときにこんなに苦しんだのは初めてなので、やっぱり絶不調だったんだろうな…。

昨日のマクロ経済の試験は、思ったより前ばらしどおりではなく、試験直前の授業でさらっと説明した合理的期待形成についての問題が出てびっくりしたが、まあ常識の範囲内なので適当に解答しておいた。昨日までは頭も正常に機能していたんだけどなあ。

やっぱり疲れですかねえ。明日から1週間強の休みがあるので、しっかり休養しないと。ただ、ニューヨーク旅行、ここ1週間サボっていたリーディングのキャッチアップ、4月の集中講義の先取り予習…と考えていると、案外時間がないのかもしれんな…。

2010年2月20日土曜日

試験、課題、また試験

来週はマクロ経済と計量経済の試験が二日連続であるので、結構やばいかなと思って早々に勉強を始めていたら、なんとなく目途がついてしまって、急に手持無沙汰に。とりあえず今週の出来事をつらつらと。

年末に僕のアカデミック・アドバイザーに不幸があり、その代わりにディアドルフ教授がなるとの連絡あり。応用経済修士課程の出願関係でお世話になったこともあり、お礼がてら色々と話を。そういえば、先学期彼の授業の課題で書いた日本のコメ関税制度の分析に関するペーパーをGramlich Showcaseという公共政策大学院の学生の発表会にノミネートするかもみたいな話を年末にされていたので、あれってどうなったのって聞くと、「ああ、ごめん。君かもう一人で悩んだんだけど、もう一人の方にお願いしようかな」と言われてしまう。まあノミネートされれば、授業と課題に追われている中、発表会に出るのも大変なのも考えると、嬉しい半分悲しい半分というくらいだろうか。

水曜日の国際金融政策の試験は前ばらし問題とほとんど同じだったのだが、信用不安から実質貨幣需要が増えた場合、ドーンブッシュ・モデルにおける短期均衡・長期均衡、為替のオーバーシュート・アンダーシュートの可能性、FEDの政策対応のあり方に関する問題を見て、頭が一瞬真っ白に。ドーンブッシュ・モデルは当然よく知っているけど、普通議論するのは永久的に貨幣供給を増やすという文脈だと思うのだけど…。うんうん唸って、実質貨幣需要の増大が短期においては金利の上昇を引き起こすが、長期においてそれがデフレの発生により調整される一方、デフレ期待が長期の外国通貨の収益期待を押し下げ、それが短期・長期の為替レート決定にも影響を及ぼすことから、為替がオーバーシュートすることにやっと気付く。その時点で残り30分程度。前ばらしされていても、しっかりモデルを理解していないと解けないんだなあと実感。上辺ばかり勉強していては駄目だな。

木曜日・金曜日はデータ分析実習の宿題を解き続ける。リサーチペーパーを書く以外にも、実際のデータを使って統計処理をさせる宿題が出るのだが、これが異常に難しい。生のデータを使うので当然ミッシングもあるし、統計処理がしやすいように作られていないので、原データに色々処理を施して分析に使える変数をいかに作り出すかで悶々とする羽目に。今学期の履修登録時には、データ分析演習は手間取らないだろうからという甘い見込みでいたのだけど、大誤算。研究者になるわけじゃないから、こんなにデータ処理の技術を身につけてどうするんだろうと思わなくもないが、まあ手に職がついている感じかな。実際、卒業後、Stataが使えるという特殊技能を持っていることが評価されて、就職する際の決め手になったということがあるらしいし。この言葉の重みを今ひしひしと実感…あー、みんなStataが嫌いだと言っていた意味がやっとわかった。

とりあえず、来週の試験を乗り切れば、楽しい中休み。あと一週間頑張りますか。

2010年2月16日火曜日

甦るマクロ経済政策論争

つい最近、ブランシャール教授がマクロ経済政策の再考に関するペーパーを出したよう。今回の金融危機の経験を生かして、今後のマクロ経済政策のあり方を検討するにあたってのスタート地点を示すという位置づけの論文。インフレ目標の設定水準の検討、マクロ経済政策としての金融機関規制のあり方、インフレ目標と為替水準の関係再考、中銀の資金供給方法の多様化、財政政策の有効性確認と平時における財政赤字削減の必要性、よりよいビルトインステビライザー構築など、面白い論点がいっぱい詰まっているので、マクロ経済政策に関心がある人は必読。

ほとんどの論点は極めて常識的でうなずけることばかりだが、インフレ目標の設定水準の問題は一番議論が分かれそうなところ。金融政策の対応余地を広げるために、インフレ目標を現在の2%水準から、例えば4%の水準に引き上げるべきか否かという論点。ブランシャール教授は、インフレの費用と金融政策の対応能力を広げることで得られる便益のいずれが大きいかはまだわからないとしており、この問題に対しては少なくとも現在のところ中立的という感じ。

個人的な直観としては、結局のところ、費用・便益を定量化していっても他の政策手法との組み合わせの議論が残る以上、論理的には解決できないのではないかなといったところ。つまり、今後の制度設計のあり方として、財政政策(ビルトインステビライザー含む)の対応能力を高かめることができれば、確実に発生するインフレのコストが極小でない限り、金融政策の対応能力を無理に引き上げる必要もなかろうかと。

いずれにしても、今後の議論がどう発展していくか楽しみ。ここ数年は経済学の研究者はこのテーマにかかりきりになるだろうし。

2010年2月15日月曜日

息抜きと芸術鑑賞

とりあえず国際金融政策の試験は何とか無理をせず準備を終わらせることができそう。そんな状況もあってか、今日はクラッシックのコンサートに行ってきた。Wu Han・David Finckel夫妻とPhilip Setzerのトリオ。演題はシューベルトのピアノトリオを2曲ほど。多分初めて聴く曲だったけど、自分がシューベルト好きということもあり、結構楽しめた。演奏者についてもよく知らないのだけど、バイオリンを弾いていたPhilip Setzerがものすごく上手くて感動。オケもいいけど、室内楽は個々の実力もはっきりわかるので、それはそれで面白い。さすがにバレンタインデーということもあり、観客は老夫婦連ればかりだったけど…。

来月のサンフランシスコ・シンフォニーの2夜連続コンサートまで、しばし息抜きはお休み予定。まあ、今月末のニューヨーク旅行では、ブルーノートとメトロポリタンオペラのチケットを押さえたし、当然昼間は美術館回りもする予定なので、当分芸術鑑賞には事欠かなさそうだけど。

2010年2月13日土曜日

オバマと卒業式と試験と

ミシガン大学の今年の卒業式には、オバマ大統領が来るそうな。ミシガン大学で大統領が卒業式のスピーチをするのは史上4回目らしい。応用経済学修士にも受かったことだし、公共政策大学院はもう今年卒業してしまい卒業生として出席しちゃおうかなとも一瞬思ったけど、単位をダブル・カウントできなくなるし、手続きの煩雑さを考えると、まあいいやという気分に。

今週木曜日はミクロ経済の試験だったのだが、授業の温さとは裏腹に試験問題の量が多く、計算結果がきれいにならないという試験で裏をかかれた気分に。ていうか、事前に配布されていた模擬試験の問題のレベルとあまりに違いすぎて笑える。今回のミクロ経済のGSI(いわゆるTA)は本当にどうしようもない奴で、課題では解答が出ない問題を作り、解答では生徒から間違いを指摘されて何度も修正版がアップされる始末。授業料が全額免除してもらえるほどの働きぶりとは絶対に言えんな、あれは。

来週は国際金融政策の試験が山なので、今週末は勉強して備えなければという感じ。再来週はマクロ経済と計量経済の試験。ペーパーを書く授業を減らした分、試験が多くて思ったより大変。まあ、それが終われば一週間のお休みなので、少しニューヨークまで足を伸ばして芸術鑑賞・観光・食べ歩きと普段の疲れを癒そうかと。今からそれだけを楽しみに頑張っていきたいと思います。あー、ほんと試験勉強、嫌だな…

2010年2月9日火曜日

ワークライフバランス

とりあえず研究計画書を書き終え、一段落。明日カンバセーションパートナーと少子化問題について議論して、もう少し頭を整理した後に見直そうかなという感じ。それにしても、やはり2月に入って少し忙しくなっている。木曜日はミクロ経済の中間テスト、金曜日は計量経済の課題提出期限。何やかんやいって、やっぱり一日単位で課題に追われているなあ。そんな感じなのに、受講する授業を一つ増やしてしまった。PubPol735: Professional Developmentという4月に6時間にわたるセミナーを2回行う形式のもの。

1月に履修登録をしようとしたらwaiting listがあまりにも長く、とても受講できないと思って諦めていたのだが、先週同じコースをもう一回開講するという連絡が来たので、すかさず登録をしてしまった。それでも、最後から5人目の登録になってしまったので、ぎりぎりセーフという感じ。

どうやらマネジメント・リーダーシップ関連の授業で、職場で成功を収める実践的な技術の習得を念頭に置いているよう。個人的には、それに加えてCrafting a Lifeという、如何にもアメリカらしい、個人のプライベートにおける成功についても扱うことに興味がそそられた。だって、こういう機会がないと生涯におけるプライベートの幸せとかなかなか真剣に考えないしね。

こんなことがテーマになること自体、アメリカでも仕事に忙殺されている奴がいることの証左なんだろうな。高給取りのエグゼクティヴは、馬車馬のように働いているみたいだし。特に部下の忠誠心なんて存在しないから部下の仕事が終わらなければ、すべての責任は自分に降りかかってくるし、ブラックベリーのおかげで24時間どこでも職場にくくりつけられているし、果てはグローバル企業なんかだったりしたら、寝ている間に地球の反対側にいる英語もろくすっぽ喋れない奴らから緊急に決裁を求める電話かけられたりと、大変なんだろうなあ。そういうことを考えたら、ある程度日本の労働環境も少しは耐えられる…わけないよな。やっぱりワークライフバランスは真面目に考えよう。

2010年2月8日月曜日

嬉しい知らせ

昨晩は遅くまで今週金曜日提出の研究計画書を作成していたので、午前中のマクロ経済の授業も半ば寝ぼけつつ受けていたのだが、いきなり目が覚めるメールが。経済学部の事務担当のおばちゃんから、応用経済学修士課程(MAE)に合格したので、早いうちにプログラム担当の教授の所に行ってね、というメール。これは結構嬉しい。

ていうか、出願締切は先週金曜日までだから、さすがに合格通知が早くないかと思ったが、Dual Degreeは別枠で審査しているのかな。あと1か月くらいは音沙汰がないだろうと思っていたので、びっくり。まだ色々と事務手続が残っているので大変だが、これで無事に来年以降、経済学を中心に勉強を深めることができそうなので何より。引き続き頑張っていきますか。

それにしてもデータ分析演習の授業ではまだ初歩的なStataの使い方しか勉強していないのに、いきなり学期末に提出するリサーチペーパーの研究計画書の提出を求められても困る。ここでまずい内容のものを出したら、最終ペーパーに大きく響きかねないし。まあ、あくまでpreliminaryなので、今後講師と相談しつつ、固めて行くという流れになるんだろうとは思うのだけど。現在のところ、所得が出生率に与える影響についてButz and Ward Modelを使った実証分析をしようかと色々と文献やデータに埋もれている最中。ホントこれ金曜日までに終わるのかなあ。

2010年2月7日日曜日

知の集積に思う

現在履修中のマクロ経済・国際金融政策の授業で、ネット上で有料公開されているデータを元に情報分析する宿題がいくつか出ていたのだが、その時に思ったのは、今更ながらだけど、研究環境はすごいスピードで向上しているないうこと。

サマースクール期間中に大学図書館の使い方みたいなことも教えてもらって、大学図書館のネットワークを使えば、学術誌の電子ジャーナルは簡単に入手できるのは知っていたけど、これを機会に色々といじっていたら、IMF統計など公的機関の有料データのアクセスも可能だし、昔から愛読しているRGE Global Economicsの有料記事も読めることが判明。欲しい情報は有料のものですら、ほとんどこの大学図書館のネットワーク使えば手に入るじゃん。

僕が学部生だった当時は、授業はつまらないので出席せず、院生でもないのに基本的にゼミ発表の準備のために法学部研究棟に籠っていたのだけど、そこではせいぜいLexis-Nexisを使って学術論文・記事を検索したりできるだけで、基本的には紙媒体の資料に当たらなければならなかった。それが今では、Google Scholarを使えば大抵の学術論文・記事は検索して入手できるし、大学図書館のネットワークを利用すれば有料データも入手できるし、大学まで行かなくても自宅からアクセスできる。

こうして当時と現在の研究環境を比較して見ると、情報技術革命の恩恵は加速度的に増しているような気がする。日米の大学の施設整備の差なのか、英語文献と日本語文献の差なのか、学部間の差なのか(注)、いまいちよくわからないが、理由なんてともかく、現在の研究環境は快適。

こうやって知の集積の度合いが上がれば、学術の進歩のスピードは当然上がると思うのだけど、実際のところどうなんだろう。当然情報が大量にあれば、無価値な情報も増えることでノイズが増すので、それが進歩のスピードをある程度下げるとしても、やっぱり容易なデータ・アクセスはそれを上回るメリットを提供しているんじゃないかなと。

そんなわけで、なんか将来に更にわくわくできるなと思ったのでした。


(注)だいたい法学部なんて伝統を大事にするがゆえに、ほとんどの面において最も遅れている学部だよね。まあ、その反面、伝統を重んじることでいい面があるのは事実だけど。

2010年2月6日土曜日

英語ブログはじめました

今学期はペーパー作成が課題になっている授業を受講していないので、英語でアウトプットする機会が異常に少ない。留学している間に少しでも英語ができるようになりたいなと思うので、一大決心をして英語のブログも書いてみることにした。

毎日のニュースの覚書だったり、ちょっとした感想しか書けないけど、少しは練習になるかなと。噂によれば、Lang-8というサービスで各国の人がお互いのブログをネイティヴ・チェックするというものがあるらしいのだが、そこまでやっていたら時間がなくなりそうなので、文法のミスなども無視して、とりあえず量産型で臨もうかと。

ああ、早くすらすらと英語を書き、喋れるようになりたいなあ。

2010年2月3日水曜日

野党の心構えと民主主義

今日は少し余裕ができたのでThe Economistを流し読みしていると、共和党批判が面白かったので、少し御紹介(“The party of No”)。要旨は以下のとおり。
  • 保守主義は絶滅に瀕していると言われていたが、民主党がマサチューセッツ州の上院議席を失ったことにより、共和党は息を吹き返した。共和党が中間選挙に勝利する勢いであるし、オバマ大統領が医療保険改革法案や気候変動法案を通す見込みは低い。
  • 08年11月、アメリカはオバマに熱狂していたが、現在、熱狂の対象は、大きな政府と財政無責任を批判するTea Party Movementに移っている。民主党は初め相手にしなかったが、こうした批判は選挙民に広く共有されており、特に財政赤字が槍玉に上がっている。
  • 共和党は民主党の提案のすべてを拒否する誘惑に駆られている。もちろん共和党のリーダーはそのようなことはしないと口では言うが、現実は、話し合いの前提条件として民主党が受け入れられないことを要求し、Bipartisanshipからは程遠い。
  • 党議拘束もないので共和党議員は自己の良心に従って投票するし、民主党は共和党議員を一人取り込めばいいだけなのだが、共和党議員はその一票を民主党に与えたという理由で選挙に負けるリスクをなかなかとれない。
  • 共和党は容赦ない反対が選挙に利することを認識している。民主党案を廃案に追い込んだとの評判を得やすいし、民主党議員の造反を引き留めるために利益誘導が行われ、選挙民の支持が落ちるといった具合に。ただ、この戦略は無責任であると同時に危険でもある。共和党が穏健層を取り込むことが困難になるし、国家が立ち行かなくなる。CNNの世論調査によれば、半数近くの国民が民主党・共和党の両方に怒りを感じており、民主党だけに怒りを感じているのは約1割に過ぎないのだ。
少数政党が拒否権を行使し続けて国政を止めることには、やはり拒否感が強いんだなと感心。フィリバスターも行使中に水面下で交渉することに本質があるにも拘わらず、昨年見ていた限りでは、共和党が単に拒否権の発動として利用されているだけで、何ら建設的な議論がされていないため、不満がじわりじわりと高まっているというところだろうか。

まあ多数を背に強引に押し倒しを図ってきた民主党も当然反省する必要があって、オバマ大統領も歩み寄りをせず、いつまでも英雄気取りでいれば、全米が大期待したけど何も成し遂げられなかった「がっかり大統領」として歴史に名前を残すことができると思うけど。

議会の本質が議論を尽くし成案を得るということにある以上、与党としても野党としても、その本分に立ち返るべき時に来ているのかもしれない。民主主義もその趣旨に則って運用されなければ、最悪なのは変わらないんだから。

"Democracy is the worst form of government, except for all those other forms that have been tried from time to time." (Sir Winston Leonard Spencer-Churchill)

腰痛と反省

最近、腰を痛めたことで得したこと。

その一。腰に負担をかけないようにするために、椅子に座っている時の姿勢が少し良くなった。昔から姿勢が悪いので、これはお得。ただ、ベットに寝転がりながら本を読んでいるので、違う意味では姿勢が悪いというか、お行儀が悪いというか。

その二。腰が痛いのに頑張って授業に出ているんだから、しっかり吸収して帰らねばという目的意識が生まれ、以前より授業に集中できるようになった。もとから真面目に授業を受けろという感じだが。

その三。自宅には無線LANがなく、ネットをするには椅子に座る必要があるため、椅子に長く座りたくがないばかりに、無駄なネットサーフィンの時間が激減し、生産性が結構上がる。課題がいつもより余裕で終わっていく…。

調子が悪い時の方が、目的達成に一途になり、無駄なことはできる限り省こうとするので、逆説的に成果は上がりやすいものだが、ここに挙がっていることは普段から心がけて直さなければならないものばかり。反省。