ミシガン大学公共政策大学院留学記: 5月 2010

2010年5月24日月曜日

夏の到来と出会いと

今日は新しいカンバセーション・パートナーと初打ち合わせ。彼はドイツ人なのだが、学部時代からアメリカに13年間留学しているので、英語はネイティヴ並みで話せる。ていうか、頭の回転が早いのか、喋りが普通のアメリカ人と比較しても異常に早いので、いいリスニングの練習になりそう。いや、ちゃんとスピーキングもしないといけないのだけど…

普通に日本のサブカルチャーに興味があるのかなと思ったら、特にそういうわけでもなく、色々な言語が勉強したいらしい。早速日本語を教えてきたのだが、谷崎潤一郎の小説をいきなり持ち出してきて、それを一緒に読み上げて、意味を取るというレベルの高さ。まったく言語能力の高い人間というのは羨ましい限りですな。ただ、ニュースなどで使われている固い言葉はほとんどわからないとのことなので、今後はそういう日本語を中心に教えていくことに。

アナーバーは一足早く夏が来てしまったようで、本日真夏並みの30度越えを記録。まあこれ以上暑くなることはないから気が楽と言えば気が楽なのだけど、買い物のためにちょっと小1時間歩くだけでも汗でびっしょりになるので、困りもの。湿度は日本と比べて全然低いはずなんだけどな。もう東京の高温多湿な気候には二度と適応できないかもしれない…。

2010年5月20日木曜日

日々雑感とユーロ

昨日予想以上に早くMacBook Proが届いた。使い心地は少し違和感があるものの、慣れたらこちらの方が便利かもなという感触。なんといっても動作が速い。やっぱりシステム起動が15秒でできるというのはWindowsじゃ考えられない。思ったよりも重量も問題ないかな。大学に持っていくのに困るというレベルではない。

少し文句をつけるのであれば、13-inchのモデルは、オーディオのインプット・アウトプット共用のジャックが一つしかついていないので、Skypeをどう使うかっていうのが悩みどころ。まあ、マイクだけ差し込むという解決法しかないんだけど。(5/21訂正: 内蔵マイクがあるので、特に問題ありませんでした)

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今週はいろいろなお誘いがあるため、一時ダイエットは中断中。月曜日はダウンタウンにあるCafe Zolaで西海岸旅行の予定の細部を詰めつつ、食事。カジュアルなレストランと思いきや、前菜は予想外に凝ったものが出てきたので、わりと楽しめた。水曜日は、KerrytownにあるYamatoで久しぶりにプロが作った日本食をつつく。とはいっても、お酒メインでいったので、色気なくカツオのたたきとアン肝を肴に、サッポロビールをあおっただけなのだけど。今日の午後は、カンバセーションパートナーとCafe Japonで食事。ここのカツカレーは日本で食べるものと同じ水準のものが出てくるので、個人的にポイント高し。ちなみに相方は大福を食べていた。うーん、アメリカなのに、なんと日本的な場所なんだ、ここは。明日はLoganというレストランに挑戦する予定。こう振り返ってみると、今週は外食し過ぎですな。

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国際金融は自分のレゾンデートルの一つであるので、当然ここ一か月のユーロ市場の進展は息を飲む思いで、眺めている。まあ、生活資金のためにドルを買うかというのも、これだけ市場が動くとちゃんと見極めないといけないわけで。色々アメリカの学者の言説があるのだけど、個人的には”Greek Myths and the Euro Tragedy”が実は的を射た議論なのではないかと思う。要点は、
  • ギリシャの債務不履行がユーロを危機に陥れると言われている。投資先という意味で、国は会社と何ら変わりはしない。国・会社を問わず、債務不履行があれば、投資家が損するだけで、通貨の価値が変わるなんてことはない。
  • ギリシャの債務不履行が金融システムを危機に陥れると言われている。でも、ギリシャの債務絡みで、複雑なスワップ取引や、曖昧なデリバティヴ取引、複雑に入り組んだ契約関係が、大量にあるわけでもない。金を貸したやつが少し損をするってだけの話だ。
  • ギリシャを救済しないと、銀行が破綻すると言われている。すごい皮肉。じゃあ、金融危機後の2年間、ヨーロッパの金融監督当局はシステム上重要な金融機関にやばいギリシャ国債を買うことを許容していたということか。それならば、金融規制の強化が対応策なのではないのか。もしこの主張が正しいとしても、ギリシャ国債に投資をした全員を救済するのでなくて、システム上重要な金融機関だけを救済するのが、正しい政策対応じゃないの。
マーケットが疑心暗鬼になって不安定になっているときに、これだからシカゴ学派はという主張だけど、筋論と言えば筋論。ただ、疑心暗鬼からか、ドルの資金繰りが逼迫している模様で(ドルLiborがじんわりだが、確実に上昇し始めている)、わりとヤバい感じがぷんぷんとする。当たり前だけど、引き続き目が離せないな、これは。

2010年5月16日日曜日

体も鍛える

 

夏休みに入ったので、少しは体も鍛えることに。日本に戻ると忙しいことを理由に運動はしないし、ストレスで過食気味なので、こういった機会に体を絞っておかねば。

ということで、5月に入ってから、天気の良い日は2~3時間程度のウォーキングと、野菜中心の食生活というダイエット生活を始めている。そのおかげもあってか、既に2週間目にして体重が4キロ減少。普段どんな不摂生な生活をしていたんだという声が聞こえてきそう。まあ、社会人生活で身につけてしまった余分な脂肪分をこの調子で落としていきたいところ。急に運動強度を上げて怪我をするのは嫌なので、しばらくはウォーキングだけかなという感じだが、来月からセミナーに参加したりで時間がなくなるから、ジョギングに切り替える時期もそろそろ考えないとな。

今日もお天気が良かったので、近くにあるGallup Parkをお散歩。近くとはいっても徒歩で1時間弱かかるんだけどね。アメリカ人は(太っているくせに)ワークアウトが大好きなので、今日もたくさんの人がウォーキングに限らず、ジョギングからサイクリングと各々好きな方法で頑張っておられました。一部の鍛えられている人を除いて、運動が足りないというよりも、どう考えても食生活に問題があるからその体型なのではないかという人がたくさんいるのがアメリカらしい。

さて、ぶらぶらと公園を歩いていると、不思議な石碑を発見。特に今まで気にとめていなかったけど、日本の地名らしきものが刻み込まれていて、どうやら公園の中に架けられている橋の一つがAnn Arborと彦根市が姉妹都市25周年になったのを記念したものとの由。そういえば、ミシガン湖と琵琶湖つながりでそんな関係があったことを思い出す。そういえば、ミシガン湖は湖というよりも海という感じだが、琵琶湖はどう見ても湖だよな。関西人のくせにテレビ映像でしか見たことないけど。

この街はどこを歩いていてもほんとに自然がきれいで、こう気持ちのよい天気が続くとなかなか勉強する気が起きないのが、最近の悩みどころです…。

2010年5月13日木曜日

ICPSR受講計画

来月中旬から始まるICPSRの夏季セミナーでとる授業を決めたので、個人メモ。今週から統計ソフトのRをダウンロードしてちょこちょこ触っているのだけど、まだ慣れず。一応Rの入門講座(と微積・行列の復習講座)も取るけど、セミナー開始までにある程度コツは掴んでおかないとな。

First 4-Week Session
■Introduction to Applied Bayesian Modeling for the Social Sciences
This course introduces the basic theoretical and applied principles of Bayesian statistical analysis in a manner geared toward students in the social sciences. The Bayesian paradigm is particularly useful for the type of data that social scientists encounter given its recognition of the mobility of population parameters, its ability to incorporate information from prior research, and its ability to update estimates as new data are observed. The course will begin with a discussion of the strengths of the Bayesian approach for social science data and the philosophical differences between Bayesian and frequentist analyses. Next, the course will cover the theoretical underpinnings of Bayesian modeling and provide a brief introduction to the primary estimation algorithms. The bulk of the course will focus on estimating and interpreting Bayesian models from an applied perspective. Students will be introduced to the Bayesian forms of the standard statistical models taught in regression and MLE courses (i.e., normal, logit/probit, Poisson, etc.).

■Regression Analysis III: Advanced Methods
Linear regression is the workhorse of social science methodology. Its relative robustness and easy interpretation are but two of the reasons that it is generally the first and frequently the last stop on the way to characterizing empirical relationships among observed variables. This course will extend the basic linear model framework in a number of directions in an attempt to fix potential problems in the analysis before they arise. The course takes a modern, data-analytic approach to regression emphasizing graphical tools to aid interpretation and presentation of results. The course moves through both low- and high-tech diagnostics for and solutions to common obstacles for estimation of linear models, namely non-linearity, outlying observations, and dependent data. We will also spend some time talking about causal inference, missing data, and model selection (including multi-model inference).

Second 4-Week Session
■Simultaneous Equation Models
This course centers on simultaneous equation models -- models of more than one equation, to account for more than one dependent variable -- formerly called "causal models." The workshop will focus on linear models of the standard econometric type, continuing on to nonlinear models, models with discrete dependent variables, and models with measurement error ("covariance structure models") as time permits. The course will cover the nature of simultaneous equation models, their parameters, and the "effects" they imply; the assumptions under which one would customarily analyze them; the identification problem and criteria for identifiability; and simultaneous equations estimators such as two- and three-stage least squares, and limited- and full-information maximum likelihood.

■Time Series Analysis
This four-week workshop begins by focusing on the autoregressive and moving average components of time series, and then turns to estimation of univariate time series models using the Box-Jenkins approach. Intervention analysis and more general transfer function models build on this tradition, often referred to as the statistical analysis of time series. The course then focuses on the econometric (regression) analysis of time series, historically quite distinct from the statistical tradition. In recent years, regression analysis has borrowed much from the statistical tradition, and the connections between the two are important for understanding how social scientists should analyze time series data. Analysis of integrated time series, including unit root econometrics and error correction models, focuses on recent econometric advances in dealing with nonstationary data.

物欲に負ける

学期中からずっと気になっていて欲しかった物を、今日4時間もうんうん唸った結果、ポチってしまった…。現役バリバリのVAIO type Zに文句があるわけではないのだが、大学でマックを触っていると、動作環境は早いし、使い勝手もいいし、つい先月新しいラインナップが発表されたばかりだし。要は、物欲に負けただけとも言うのだが。

というわけで、MacBook Pro 13-inchのCore 2 Duo 2.4GHzモデルを購入。ハードドライブはSSDの爽快感を一度味わってしまった身としてはこれだけは譲れず、SSD 128GBへカスタマイズ。ソフトウェアはMicrosoft Officeは載せず、iWorkのみ。とりあえずコスト・パフォーマンスだけを考えた構成にしておいた。VAIOのOSは未だにVistaという惨憺たる状況にあるので(Windows 7に変える必要がないくらい快適に動くのがアップグレードしない原因だったりする…)、おそらく同じくらいの処理速度が出るのではないかと。それで1,500ドル強と言えばお買い得かな。

一応真面目な購入理由は、去年から使っているDellのネットブックがあまりにも動作が遅すぎて使い物にならないので、所詮安物だったし減価償却が終わったことにして、メインマシンのVAIOが急に不調をきたした場合に備えサブマシンとして購入するのもありかなと思って。MacBook Airも欲しかったのだけど(ディアドルフ教授が使っていたのを見て、ちょっと嫉妬)、その意味でさすがに趣味的にすぎるので却下。

実は今回初めてマックを買うのだけど、大学で触っている感じでは、特に違和感ないし、まあ毎日iPhoneを触っているわけで、すぐに慣れるかなという感じ。ただ、少し物理的に重いかもしれんな。何と言っても2kgもあるわけだし。とは言いつつ、アメリカの大学生らしくリュックを背負って登校しているので、そんなに気になる重さではないだろうけど。最悪、MacBook Proを自宅用のメインマシン、VAIOを大学用のサブマシンにしてもいいか(なんて贅沢な…)。

せっかく買ったので、早く届かないかなと首を長くしているけど、どうせアメリカだから届くの遅いんだよな。はぁぁ…。

2010年5月11日火曜日

内実伴う民主主義?

今週のThe Economistの記事で、民主主義をいかに機能させるかという観点から興味深い記事があったので、少しご紹介(Ancient Athens Online)。要旨は以下のとおり。
  • 国民一人一人にとって、あらゆる政策に熟知することは時間的に不合理。だが、政策立案に携わる官僚に丸投げするのも魅力的な選択肢ではない。古代アテネでは、約5万人の国民から無作為に500人を抽出して、政策決定を行わせるという制度が存在。現代でも、同種の手法が”deliberative democracy”として復活。
  • 主導的な実践者の一人に、スタンフォード大学のFishkin教授がいる。彼は約300人を無作為抽出し、彼らに双方のアドボカシー・グループから意見を聴取させた上で、その問題について討論させた後に、意見決定させるというもの。理論的には、この意思決定は全国民が熟知したうえで下す意思決定とほぼ同じである。こうした手法は、およそ75%の問題について、統計的に優位な意見の変更をもたらす。
  • こうした手法は興味深いが、その結論が実行に移されなければ、選挙などの代わりとはなりえない。しかし、こうした手法に基づく結論が実行に移され始めている。ただ、民衆が権力を手にすることに統治者が気を揉んでいる国では、こうした手法が一種の安全弁となっている可能性がある。
ここで言うdeliberative democracyとは、国民の各階層を代表する人間を標本抽出した上で、特定の政策問題に関する知識を充分に与え、議論させることで、ただの数の論理による結論ではなく、意味ある議論を尽くした、よりよい結論を得ようという手法のようだ。こうした手法を使えば、国民はあらゆる政策課題に通じている必要はなく、コストを最小限にして合理的な意思決定ができそう。ただ、現行の民主主義の建前を前提とすると、やはりいくら政策課題に熟知させ議論させたとしても、国民の一部の意見でしかない以上、尊重はすれど、拘束力のあるものとしては活用できないだろう。

記事では日本での実施例も一言触れられていて、おそらく藤沢市の「藤沢のこれから,1日討論」のことではないかなと。この藤沢市の例では、討論型世論調査が拘束力を持つものではなく、総合計画の策定にフィードバックするという形が取られている。やっぱり普通に考えれば、こういうふうに政策立案過程に活かすというところが現実的なのねと納得。

国政レベルでもこうした取組をするのはいかがだろうか。不特定多数からパブリック・コメントを求めるよりも、内容のある提言や批判が得られそうで、政策立案の質の向上に寄与するのではないか。こうした手法は、パブコメを募集することで国民から意見を聞いているという姿勢を示して、何となくお茶を濁している現状よりかは、優れていると思うのです。

2010年5月8日土曜日

冬学期授業評価

忘れないうちに今学期の授業評価を。

■Microeconomics B: Economic Decision-Making (Sharon Maccini) 評価:★☆☆☆☆
秋学期のミクロ経済の続き。先学期の積み残し(生産要素市場・DCF・市場の失敗など)を学んだ後、費用便益分析を学ぶ。…はずが、講師が授業下手だったので、費用便益分析は深いところまで学べず。毎回パワポの講義資料を配布してくれるのはいいのだが、内容が分かりづらい上に冗長。授業はつまらない質問を上手く捌くことができず、時間だけが徒過していく駄目駄目な授業。時間と金を返せ。

■Macroeconomics (Kathryn Dominguez) 評価:★★★★☆
■International Financial Policy (Kathryn Dominguez) 評価:★★★★☆
マクロ経済学はマンキューの教科書を元に、新古典派・ケインズ経済学・成長論について、国際金融政策はクルーグマン=オブスフェルドの教科書を元に、為替決定理論・DD=AAモデル・国際通貨制度について、それぞれ網羅的に学習。講義資料がよくまとまっており、教授は話もお上手。課題文献が異常に多いので、キャッチアップするのは大変だったが。試験は前ばらし問題以外は応用問題が多く、講義で習う以上に深く理解していないと対応できないのがつらいところ。教科書の特性もあり、定性的な説明が多いので、数理モデルは別の機会に勉強する必要あり。

■Applied Econometrics (Mel Stephens) 評価:★★★★☆
単回帰分析・重回帰分析から始まり、ガウス=マルコフ仮定が満たされない場合(誤差項の分散不均一性・系列相関など)の処理など、ウルドリッジの入門版に沿って学習。講義資料の出来が素晴らしく、ところどころで数学を用いて証明しつつも、内容が分かりやすいという優れ物。計量嫌いな人でも、彼の講義資料で勉強すれば簡単に理解できると思うな。授業自体はなぜかつまらないのが玉に傷なのだが。ただ、裏返しとして、試験での要求水準が高く、問題数が多い上に、証明問題を始め、理論的な問題が多く、大変な思いをさせられた。

■Practicum in Data Analysis Using STATA (Justin Thomas) 評価:★★★☆☆
統計ソフトのSTATAの演習授業。前半は教科書の演習問題のような、きれいなデータセットは世の中存在しないということで、いかにデータを加工して統計処理しやすいデータセットを作るのかを学習。後半は主に計量経済で習っている範囲のコマンドの使い方を学習。現実の統計処理を勉強するという意味で役に立つ演習。ただ、問題演習のレベルが授業でやっているレベルを遥かに超えるなど、授業の手抜き具合が気になる。講師自体はいい人なんだけど、打ち合わせの時間をセットしてくれないとかズボラなのもマイナス評価の対象かな。

■Professional Development (Paula Caproni) 評価:★★★★☆
職場におけるマネジメントを、自己分析を踏まえつつ、いかに行うべきかを学ぶ演習授業。公共政策大学院のマネジメント科目は組織をいかに機能させるかという観点の授業が大半だが、ビジネススクール兼任の教授ということもあるせいか、チームレベル・個人レベルでの機能向上という、より実践的なもの。12時間の集中講義だったので、直接学べたことは少なかったが、興味深い本やブログを紹介してくれたので、この夏休み中に消化せねば。この授業は、職場での役割の演じ方などを再考する、いいきっかけになったかなと。


…問題の成績は、なぜか国際金融政策でA-を取るという大失態。他はA+、Aで揃えたのだけど。自分の専門分野ということもあり、逆に落とし穴に嵌ったのかな…やや鬱です。

2010年5月7日金曜日

デトロイト観光(後編)

お腹もいっぱいになったところで、午後は工場の廃墟群へ。


フォードのT型モデルを作っていた工場跡も同じ地区にあった。やっぱり昔は自動車産業で栄えた街なのだと再確認。しかし繁栄が終われば、国土が広いばかりに、不要になった建物は壊されることもなく、打ち捨てられていく。

そのあと、別の廃墟工場群として有名なPackard Plantに向かう。とりあえず車を降りてうろうろと見ていると、写真家の白人に出会い、色々とアドバイスをもらう。去年アートフェアの時にデトロイトの廃墟をテーマに作品を出していた芸術家がいたから、彼もその一人なのだろう。



ほとんどの廃墟は板などが打ちつけてあって、中に入ることができないのだが、ここではそんなことはない。男4人旅。たぶん男2人だったら工場の中に入るなんて真似はしなかっただろうけど、集団心理ってやつですかね。しっかり工場の中に入ってきた。…もちろん崩落の危険性もあるので、白人のアドバイスどおり安全だと言われた工場だけだけど。



いやいや、人生でこんなに怖いと思ったのは、初めて。物理的な危険も当然そうなのだけど、物事が廃れていくことに対する恐怖。僕たちが今築きあげているものも、いつかこうなってしまう日が来るかもという想像が恐怖心を掻き立てるわけで。そうやって工場から出てくると、怪しい白人が登場。

”Hey, what do you think about my home? Where do you come from?”

…背筋がさすがに凍った。適当にやり過ごして車まで戻り、退散。というわけで、よい子のみなさんは、絶対真似するのは止めましょう。世の中経験しなくていいこともあるよ。

その後は、映画で有名な8 Mileへ行く。映画のイメージとはかなり違ったところだったが、映画で描かれているとおり、この道を境に街の景観、住民層ががらっと変わる。そう、まるで目に見えない壁がそこにはあるかのように…。

夕食はGMタワーの頂上にあるレストランでお食事。料理の質も景観もいいわりに、リーズナブルなお値段。やっぱり土地柄ということなのか。

世の中ほんとにきれいなことばかりでもないし、知らなくていいこともあるけど、それでもいい経験になったかな。

デトロイト観光(前編)

諸事情があり少し遅くなったが、今週月曜日に行ったデトロイト観光の感想を。

朝9時から後輩の車でデトロイトへ。ディアボーンからデトロイトに向かって走っていたのだが、最初に気付くのは人がまばらな上に、暇を持て余した黒人数人が当てもなく歩いているということ。向こうからすれば、黄色人種は珍しいのか、停車中は結構じろじろと見られるわけで、あまりいい気はしない。

最初に立ち寄ったのは、廃墟となった旧駅舎。


車で走っている途中で、廃墟らしき建物はたくさんあったのだけど、やはりこれだけ立派な建物が廃墟になっていると迫力が違う。ここは人が少ないものの、結構四方八方が見渡せる場所にあるので、危険が少なく、いわゆる観光名所みたいな感じのようだ。まあ、デトロイトの廃墟と言えば、ここが有名だしね。

近くにあった廃墟となったホテルと住居。


最初はそれなりに感銘を覚えるのだが、どこを見渡してもこんな所ばかりなので、段々感覚が麻痺していくのがよくわかる。市内に入ると、ウェスティンホテルが目に入ったのだが、少し建物がくすんでいるように見えた。雰囲気のせいなのか、それともやっぱりこういう街だから?気を取り直して、お昼を前に少しはきれいなところをということで、デトロイト川に浮かぶベル島へ。


この島に着くと、なぜか白人しかいない。ちゃんと住み分けできているよな、やっぱりアメリカって。お天気が良かったこともあり、ピクニックするのに最適なきれいな公園だなという印象。とりあえず疲れてきたこともあり、Greek Townでワインを飲みつつ、ギリシャ料理を楽しむ。

つづく。

2010年5月1日土曜日

長い夏休みの始まり

先週水曜日にすべてのテスト・課題が終了し、一足早く夏休みに突入。気候も穏やかで気持ちがよく、晴れ晴れとした気分。

昨日からアナーバーはいつになく人であふれかえっていた。今日大学の卒業式でオバマ大統領がスピーチすることもあり、学生の家族が大挙してやってきているのだ。残念ながら僕は卒業式には参加できず、オバマ大統領を直接見ることはなかったが、先程ネットで録画された映像を見たところ。来年の卒業式は誰が呼ばれるのかなあ。東大の卒業式はつまらなかったという印象しか残っていないので、有名な人が来て面白いスピーチをしてくれることを期待するばかり。

夏休みに入ったとはいっても、来月中旬から統計・計量経済学のセミナーが始まるので、この短い間に今までやり残してきたことを要領よくこなしていかなければなというところ。とりあえずマクロ経済の勉強を深めるために、David Romer “Advanced Macroeconomics”の査読を始めたところ。ついこないだ第3版の日本語訳が発売されたので、出来れば日本語で読みたいところなのだけど、留学している身としてはそうそう甘えも言っていられず。

ただ、とりあえず少し骨休めをしたいということもあり、月曜日は後輩にデトロイト観光に連れて行ってもらうことに。繁栄した街がどのように廃墟へと変わっていったのかというのをしっかり見てきたいですね。