ミシガン大学公共政策大学院留学記: 1月 2011

2011年1月28日金曜日

荒れる天候

なんかアメリカは歴史的な大雪に見舞われているみたいで、寒いけどあまり雪の降る印象のないアナーバーもよく雪がちらついてる。まあ、ずっと降り続くことは少ないので、すぐ除雪されて、雪が積もっている感じはほとんどしないけど。ただ、東海岸当たりはすごいことになっているみたいだ。

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そういえば、JGBの格付けがまたもや引き下げられたとのニュースを見て、ため息が。財政危機で苦しんでいるClub Med countriesと違って、日本国債は90%以上が国内保有なので、すぐに財政危機ということにはならないけど、財政不均衡が中長期的に改善しないと判断された結果だろう。

社会保障の切り下げ、消費税の増税、ないしその両方に取り組まなければいけないというのはほぼ総論では合意できているのに、各論になると議論が進まない。ニュースを見ている限り、消費税に対する嫌悪感は根強いみたいだし。無駄な歳出削減が先だという議論はもっともだし、無駄削減には不断の努力が必要だけど、数字の桁がまったく違う話なので、消費税増税を避けることは、所詮、後世代に負担を先送りして、今の世代が身の丈に合わない贅沢しているに過ぎないんだよなあ。当然、人口減少が問題の背景にあるわけで(「失われた20年」と言われるけど、実は日本の労働人口当たりGDP成長率は結構高かったりする)、中長期的に少子高齢化問題に対処するのは当然必要だけど、ここまで国債残高が積み上がっている以上、短期的にも受益と負担をバランスさせるかに取り組まざるを得ないだろう。

実際に何か現実的な危機が起きないと改革できないというのが、日本が昔から抱えている悪い癖だとは思うのだけど、なんとかならないもんだろうか。

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火曜日にオバマ大統領の一般教書演説があったので、まあアメリカに留学している身として当然見ていたのだけど、率直の感想としては、ぎりぎり合格点というところか。外交の話は専門ではないので省くことにして、アメリカ経済が将来を勝ち取るためにというキャッチフレーズで、競争力の強化を促すインフラ投資、教育改革などの民主党の従来からの政策をフレーミングする一方、共和党との柔軟な交渉・親ビジネスといったイメージを植え付けようとしていて、それが奏功しているように見えた。共和党支持者の受けは悪いだろうけど、中間層の取り込みにはよかっただろう。しかし、政策の具体的な数字がほとんど提示されなかったし、成長のための投資と財政再建と相反する課題を取り上げていて、いかにそれを昇華して解決するのかが見えないという点で、実質的な中身としてはほとんど落第点といったところ。

中国や韓国が演説の中に取り上げられているのに、日本が取り上げられていないなんてニュースが取り上げていたけど、日本はそんなことを気にする前に自分の宿題をしっかりやれってことだと思うけどね。

2011年1月23日日曜日

スティグリッツ・リポート

毎週1冊は本を読むという目標を立てていたので、とりあえず2週間かけてスティグリッツ・リポートを読み終えた(最初から目標倒れ感が否めない…)。これは金融危機への対応として、デストコ国連総会議長の呼びかけによって作られた専門家委員会によって書かれたもので、その委員長がスティグリッツというわけ。各国から色々な人が専門家委員会に入っていて、日本人だと元財務官の榊原さんが委員にいる。もっとタイムリーな時期に読んでおけばよかったかなという気がするが、まあ仕方ない。

内容としては、個別具体的な改革案というよりかは、金融規制改革、国際機関の投票権改革をはじめとする国際金融システムの改革案のバックボーンとなるべき思想を提示している。個人的に新鮮だなあと思ったのは、この問題を経済開発の問題に結びつけて説明ないし思想の表明をしているところ。こういう切り口でこの問題を眺めたことはなかったなあ。その上で、G20なんて枠組みもまだまだ全世界を代表できていないと指摘していて、すべての国が投票権に歪みない状態で加盟し、危機時に資金を融通する国際機関を作るべきとか言っていたりする。まあ思想としては美しいかもしれんけど、結局ある程度少数のコアグループじゃなきゃ意味ある議論なんてできないし、現実問題としてIMFが存在する以上、その改革を飛び越えて物事を進めようなんて、ちょっと常軌を逸している。そのあたりがいかにも国連の優等生的・自己拡張的な思想がちらちらと垣間見えて、鬱陶しい。ただ、どういう経済思想でこの問題を眺めるかを再度考え直すきっかけになったので、それはよかったか。

そういえば、榊原さんはうちの大学の経済学博士号を持っているので、先輩ということになるんだなあ。年末も旅行先でテレビに出ていて、討論とかしているのを見かけたので、やっぱアメリカでもそこそこ顔が売れているおじさんなんですかね。

2011年1月16日日曜日

時間割再調整?

明日はキング牧師誕生日ということで、今週末は3連休。金曜日は韓国料理屋で新年会、今日はUMS主催のルネ・フレミングのコンサートに行って、厳しい授業日程の中、ちょっと一息をついたところ。ただ、現在の履修状況は異常に厳しいことがわかったので、聴講を取りやめるどころか、時間割の再調整が必要かも。とりあえずすべての授業を一通り受けてみた感想。

■ECON502 Applied Macroeconomic Theory
教授の研究分野が主に成長論なので、シラバスによれば、マクロ経済の授業なのに、ほとんど成長論しかやらないらしい。授業スタイルはすべて板書をしながら説明して、質問に答えていく古典的スタイル。おじいちゃん先生であることもあり、テンポも若干ゆっくり目。高校生の時を彷彿とさせる授業。

■STATS503 Applied Multivariate Analysis
教授は数学科から統計学部のPhDを取った若手の女性。 基本的に説明変数の次元を減らす手法を中心に扱う予定。 行列を使って厳密な説明をするのだが、その結果の直感的理解や適用の場面の選択などについてほとんど触れてくれないので、いまいち理解が進まない。

■STATS531/ECON677 Time Series Analysis
インド人の女性教授が担当。一つ一つの概念について、ゆっくり時間をかけて説明してくれるので、わかりやすいのだが、授業のレベルと宿題のレベルがいまいち釣り合っていないかな。まあ、授業が概念をつかみやすいようにやってくれているのは結構なんだけど、問題演習にも対応できるようにして欲しいところだよな。

■ACC564 Corporate Financial Reporting
会計事務所に務めた経験のある実務家の女性教授が担当。授業の半分がケースに関する問題演習の解説、残り半分が新しい概念などの説明に当てられる。毎週二回宿題を提出する必要があるので、負担が重い。会計は実際に手を動かさないと身に付かないのはよくわかっているけど、これはなかなかつらい。日本にいた時に会計は相当程度やりこんだ方だけど、英語の会計用語があまりピンとこない上、アメリカと日本の基準の違いなどでつまづくことも。

■FIN580 Options and Futures
お題目どおり、オプション市場と先物市場に関する授業。現在は取引の実情や市場構造などについて扱っているが、今後はプライシングの問題などに進む予定。この授業も理由がわからないが、半期の授業なのに宿題提出が8回もあるので、面倒くさそう。ただ、難易度はそこまで高くないので、サバイブするのは難しくなさそう。

■FIN631 Risk Management in Financial Institutions
各種金融機関の業務概要・リスクの所在について学んだ後、金融機関が抱えるリスクについて個別に検討をくわえ、またそのヘッジ方法について理解を深めるという授業。ビジネススクールの教授のわりには、そこまで説明がお上手ではないのが玉に傷だけど、金融業界について再度勉強するいい機会なので、この機会はしっかり活用したいなと。

ビジネススクールの授業が今学期前半の半期の授業で授業時間数が長い上に、どれも宿題などの負担が重いので、このままだとスケジュールが破綻しそうな予感。なので、現在相対的に重要性の低いSTATS503の履修を取り消して、今学期後半の半期の授業を登録して、負担を均そうかなと検討中。はてさて。

2011年1月9日日曜日

大学とプライベートの両立問題

今日からUMS主催コンサートの半額セールが始まったので、色々と物色中。問題は、今学期のビジネススクールの授業のほとんどがイブニングクラスなので、スケジュールがなかなか合わないこと。まあ、どうしても行きたいコンサートは授業をさぼってでもいくつもりだけど。それでも、この時間割のせいで今学期前半はワインテイスティング会に参加できそうもないし、踏んだり蹴ったりだなあ。

明日から始まる金融リスク管理の授業の予習範囲が異常で、今週末は何もできなかったけど、今学期は最終学期ということもあり、週末の使い方を少しだけ有意義なものに変えようと考えている。具体的には、最低1週間に1冊は本を読んでいきたい。冬休み旅行中に、今まで「積ん読」状態だった本を逐次読み進めているけど、まだ消化しきれないどころか増えて行く一方だし。まあ、Kindleにお世話になるようになってから、物理的スペースの問題は解決されてきているのだけど、やっぱり小説から学術書を含めいろんな本を読み続けるのはいい刺激だしな。

明日からビジネススクールの授業も開講されるし、正規に登録した意外に聴講の授業も引き続き受ける予定なので、また忙しい日々が始まりそうです。

2011年1月4日火曜日

秋学期授業評価

明日から冬学期が始まってしまうので、手遅れにならないうちに秋学期の授業評価を。

■ECON501 Applied Microeconomic Theory (Kai-Uwe Kuhn) 評価:★☆☆☆☆
ゲーム理論に始まり、一般均衡分析へと進み、独占、市場の失敗(公共財・逆選択)までカバー。需要理論・供給理論については、ほとんど扱わず。パワポを準備して授業に臨んでくれるのはいいのだが出来はよくない上に、残念ながら彼独自の視点からの説明のため、意味が不明瞭だったり、初めて見るグラフ表現だったりで、わかりづらい。宿題のレベルは授業から大きく乖離していて難しい上、解説も極めて不十分。試験は過去問を何度も解けば対応可能だが、問題に不備が多く、解答できないもの多数。まあ、そこまできつくないけど、何が身についたのかよくわからん授業。しかし、いくら試験が難しいからって平均点が50点を優に切るのは、学生側にも問題があると思う。

■STATS500 Applied Statistics I (Ji Zhu) 評価:★★★☆☆
線形回帰分析について、基礎から応用まで網羅的に勉強。今まで触れたことがなかったものとしては、変数選択法、収縮法、ブートストラッピング。収縮法は(数学的に)面白いとは思ったけど、解釈がほとんど不可能になるので、実用的ではないなという印象。講師のレベルは標準的かな。統計学部の方針なのか、テストにオール持ち込み可なので、勉強するインセンティヴが著しく下がるのが問題点。一言で言えば、そこまで印象にのこらない授業、ただRの勉強には役立ったという感じ。

■FIN612/614 International Financial Management (Paolo Pasquariello) 評価:★★★★☆
前半は為替決定理論と為替取引の実態について、後半は国際金融商品の評価と投資戦略について、投資銀行の立場から勉強。それぞれ顧客に対するポジションメモを提出。教授は若いながら早々にテニュアを取っているだけあり、講義資料も簡潔で分かりやすいし、講義も面白い。日本円についても造詣が深く、事例として多く取り上げていたのもプラスポイント。多少の事実誤認は御愛嬌というところか(彼の理解では、日本の為替政策はMETIがやっているらしい…(笑))。冬学期の国際金融政策では、国際金融市場の実態についての理解が得られなかったけど(均衡分析が重視されていたため)、こちらはプレイヤーの立場なので市場構造についても深く理解できたので、ものすごく役に立った。星は4つにしておいたが、今まで受講した講義の中でトップの位置づけを与えたい。

■PUBPOL647/648 Data Analysis Using Excel (Justin Thomas) 評価:★★★☆☆
エクセルでのデータマネジメント、ソルバー機能での最適解導出、マクロ作成、重回帰分析、ロジット分析を学習。この講師の授業は3学期連続で受講しているけど、相変わらずいい加減な感じ。アメリカ人受けはいいけどね。別に自分で本を読みながら身につけられる知識ばかりなのだけど、こういう機会に実践向きのスキルをまとめて身につけることができたのはよかった。久々にエクセルと格闘するなど、現実への復帰の一歩ってやつですね。

■PUBPOL751 China’s Economic Reform (Guanjian Xu) 評価:★★★☆☆
中国人民大学公共政策大学院の副学長が教える中国経済改革の授業。1978年以降の開放改革路線について、それ以前の歴史を交えながら勉強。教科書に載っていない彼の小話的な中国経済の現状みたいな話が役に立ったけど、それ以外は教科書5冊全部読んだ方が早い。授業の進捗と関係なしに、課題提出があるので、ただでさえ多いリーディングを先取りしてこなしながら、個別に論文などを読み込む必要があるので、大変だった。そこら辺はもう少し授業構成をうまく組み立ててほしかったところ。

肝心の成績は、国際金融・中国経済改革でA+、その他Aという感じ。ミクロ経済と統計もA+を取りに行ったのだけど、無理だったなあ。まあ仕方ない。今学期も頑張って行こう。

2011年1月3日月曜日

新年

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

去年は秋学期以降、学事日程が厳しかったこともあり、更新頻度が著しく落ちているけど(特に昨月は1回もアップしていない…)、留学期間もあと半年なので、最後までできる限り記録を残していければなと。ただ、今学期の前半は授業を6つ履修する予定なので、2月いっぱいまでは引き続き低調なままの可能性が高いけど。

先学期はすべての学事日程終了後、シカゴに留学している同期とラスベガスへと向かい、その後ロス・サンフランシスコと回り、最後はハワイに。ハワイではアメリカ人と結婚した姉と久々に再会し、あと半年で3歳になる甥っ子を見てきた。いやあ、なかなかかわいいもんですな。そのまま、ハワイで新年を迎え、極寒のアナーバーに戻ってきたのだけど、出発前の最高気温がマイナス10度以下というおかしな状態から、最低気温でマイナス5度程度の常識的な範疇の気候に戻っていたので、そこまで体は不適応状態には至っていない。水曜日から早速授業が始まるけど(ビジネススクールはありがたいことに来週から!!)、最初の週はどうせ教授を含めローキーなので、徐々に休みボケを解消したいところ。

留学もあっと言う間にあと半年になって、早く日本の土を踏みたい(正しくは、毎日美味しい日本のご飯を食べたい)という気持ちが強まりつつあるが、人生で自由に勉強できる時間はこれが最後だから、歯を食いしばって頑張りたいですね。すぐに仕事に役立つ知識・スキルではなくても、これが今後しばらくのキャリアの土台となっていくので。でも、さすがに授業6つはやりすぎたか…(汗)